【ShortNote vol.16】あらゆる企業発信は、“応援”であるという考え方

メディアなどでしばしば「日本人は仕事を通じて幸福度を感じている割合が少ない」「仕事に対する意欲が少ない」などと取り上げられるのを目にします。実際にそういった調査結果も出ており、パーソル総合研究所「グローバル就業実態・成長意識調査 -はたらくWell-beingの国際比較」によると、働くことで幸せを感じている日本人は全体の49.1%(調査対象18 カ国の中で最下位。最多はインドの92.6%)とのこと。一方で、働くことで不幸せを感じている日本人は18.4%と低水準、そしてインドでは46.2%と最多なので、幸せ度数だけを見て一概にインドが良い、日本は良くないと片付けるのは違うと思いますが、それでも日本人の半数近くが少なくとも仕事をしていて幸せではないと思っている事実はあります。

例えば、とあるサービスを導入すれば確実に自分たち従業員の業務が改善されそうだと理解できたとしても、そもそも仕事に対する意欲が低ければ、導入しようと積極的に動く可能性も低いであろうことは想像に難くありません。また、例えば11月から年末、そして翌年の春にかけて気分が落ち込みやすくなったり、不安感が募りがちになる“冬季うつ”という症状があります。基本的には仕事へのモチベーションが高い方であっても、その時々によってはそうでもないことも、人間ですから当然ありますよね。

誰の言葉かは忘れてしまったのですが、国内の著名な広告クリエイターがかつて「広告とは応援である」と言っていたことを覚えています。広告とは人を元気にするもの、世の中を盛り上げるものでなくてはならないという趣旨だったのですが、それは広告に限らず、企業が生み出すコミュニケーションも基本的にはそうあるべきだと最近よく思います。

ただでさえ近年は、様々な技術革新がものすごいスピードで進んで、自身のキャリアに対する自信や展望が揺らぎがち。そうした中で高いモチベーションを保って働けている方々は本当にすごいと思いますが、なかなか上手くいかずやる気を出せない半数近くの方々に向けて、単に自社サービスの良さをお伝えするだけでなく、それらの内容がモチベーションアップのきっかけになれるにはどうすれば良いのかを考えたい。少なくとも、やる気を削いでしまうようなコミュニケーションだけはしないよう心掛けたいと思っています。

和泉真

大学卒業後、コピーライター/プランナー/クリエイティブディレクターとして複数の広告会社を経験。三越伊勢丹や東急ハンズ、東急百貨店やJINSなどの広告プロモーションやブランディング施策の企画・制作を担当。2021年にヤプリに入社し、マーケティング担当としてコンテンツマーケティングなどに取り組んでいる。