このYappli Magazineでも、ニュースで何度となく「ハンドメイドマーケット」についてのリリース情報をピックアップしてきました。国内でも近年「ハンドメイド」「DIY」など、すでに出来上がっている既成品の購買ではなく、実際に自分で作って楽しむという文化がポピュラーになってきました。
そんな中で、グローバルで見ると「Etsy(エッツィー)」の存在感は一際大きくなっています。
Etsyとは何か?
Etsy(エッツィー)は、2005年にアメリカで創設されたオンラインマーケットプレイスです。このプラットフォームは、「ハンドメイド」「ビンテージ」「クラフト資材」の3つの主要カテゴリに特化しています。
Etsyの特徴の一つは、世界中のクリエイターが自作のユニークなアイテムや手作り作品を販売できることでしょう。これにより、個人の創造力やオリジナリティを尊重する市場が形成されています。また、Etsyはビンテージ品も扱っており、歴史的価値のある商品を探しているユーザーにとっても魅力的です。
さらに、Etsyはグローバルに展開されており、160万人のセラー(販売者)と2,400万人のバイヤー(購入者)を抱えています。このため、現地の市場に限定されず、世界中のユーザーに商品をアピールできる強みがあります。アプリも活用しており、2015年末で3,180万ダウンロードを記録しています。
Etsyの発祥と国際展開
Etsyは、2005年にアメリカ合衆国ニューヨーク市ブルックリンで誕生しました。創業当初から、ハンドメイドやビンテージ商品、クラフト資材など、独自性の高い商品の販売を目的としたオンラインマーケットプレイスとしてスタートしました。Etsyの設立の背景には、大量生産品ではなくユニークで個性的なアイテムを求める消費者のニーズに応えるためのプラットフォームを作りたいという思いがありました。
Etsyの成長は目覚ましく、わずか数年間でグローバル展開を果たしました。最初はアメリカ国内を中心に展開をしましたが、ユーザー数の増加に伴い、カナダ、イギリス、オーストラリアなど英語圏の国々に市場を広げました。その後も、日本を含むその他の地域にも進出を続け、現在では世界各国で利用されるプラットフォームとなっています。
Etsyが国際展開に成功した要因の一つは、地域ごとの特徴を理解したローカライズ戦略です。現地の言語や文化、習慣に対応したマーケティングを行い、多様なユーザー層に受け入れられるよう工夫しています。また、グローバルな市場で商品を販売できるだけでなく、コミュニティ機能を活用し、ノウハウを共有することで、販売者の成長をサポートする体制を整えています。
Etsy Japan Market Lead 浅岡範子氏
今回は、Etsy Japanのマーケットリード浅岡氏に日本国内における展開を聞いてきました。
日本国内の「ハンドメイドマーケット」の盛り上がりをどう見るか
浅岡さん:Etsyにとっては追い風だと感じています。元々日本人は手先が器用で伝統工芸品なども数多くあるからです。手芸の文化も非常に根付いているし、「MADE IN JAPAN」という言葉もグローバルになっています。毎年インバウンドの観光客も増えていて、日本の商品をグローバルに販売できるEtsyは活用頂けるサービスになると思います。
Etsyの特徴は何か
浅岡さん:商品をグローバルに販売出来るのはもちろんですが、「チーム」や「フォーラム」というコミュニティが充実しています。「チーム」は「セラー(販売者)」同士のコミュニティで、「フォーラム」はオープンな掲示板で、Etsyで商品を販売するためのディスカッションなどが日々行われています。販売ノウハウをEtsyユーザー同士で共有できるのが特徴的です。
また「セラーハンドブック」という商品を売るためのヒントを得られるようなサービスにも力を入れています。より商品を魅力的に見せたり、マーケティングやリーガルのナレッジを提供しています
アメリカでは、Square (スクエア)のようなクレジットカードリーダーの提供もしています。日本国内での提供は未定ですが、これを使えば対面販売した販売データもEtsy上で管理ができる。
Etsyの今後の国内展開について
浅岡さん:今年1月には「Etsyスタート2016」という4週間のオンライントレーニングプログラムを実施し、ミートアップのリアルイベントなども行っていますが、今年はセラーを増やす活動をメインに考えています。先ほどと重複するが、日本には非常に魅力的な作家が多いため、グローバルに販売できるEtsyに商品を出品頂けるような勉強会やワークショップ、イベントを各地で行う予定です。
「越境EC」「海外発送」と聞くと難しいと思われてしまうが、そのハードルを下げ、機械翻訳による購入者とのコミュニケーションや、海外発送などのノウハウを共有し、参加頂ける作家を増やしていきたいと考えいます。
終わりに
今回の取材を通じて改めて、Etsyを活用した越境ECの魅力を感じました。
なかなか独自ドメインのお店で越境するのは難しく、言語の問題もあります。
しかし、Etsyというプラットフォームを活用すれば、特に難しいマーケティングを必要とせず、商品の魅力的な写真で勝負できるのではないかと思います。
Etsyの検索ボックスに、日本語で欲しいアイテム名を入力すれば、国は関係なく商品のリストが表示されます。
Etsyで「iPhone6sケース」を検索した結果
購入者側にとっても、世界中の商品を一元で閲覧できて購入できるサービスは非常に魅力的です。その商品が欲しければ、送料なども問題はあるにせよ、どの国の人が販売しているかどうかは関係ない。これが本当の意味でのグローバルECではないでしょうか。
まだまだ国内では展開がはじまったばかりですが、出品者にとっても、購入者にとっても非常に魅力的なEtsy、ハンドメイド作品を持っている方はぜひこの機会に出展を検討してみてはいかでしょうか。
iOS
https://itunes.apple.com/jp/app/etsy-handomeido-binteji-kurieitibuna/id477128284?mt=8
Android
https://play.google.com/store/apps/details?id=com.etsy.android&hl=ja
Profile:
浅岡範子(あさおかのりこ)1976年、愛知県生まれ。スタンフォード大学経営大学院卒。Amazon JapanでCD・DVD販売部門の事業部長、音楽配信・映像配信サービスの立ち上げを担当、新規事業や日本と世界をつなぐ仕事にやりがいを感じる。2015年、日本の手仕事の素晴らしさやデザインの魅力を世界に届ける手伝いをしたいとの思いからEtsyに入社。
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