ヤプリ エグゼクティブ・スペシャリストの伴です。
前回に引き続き、Shoptalk Fall 2025(シカゴ)のレポートをお届けします。
今回のテーマは「検索の終わり」。
AIによって「検索」は“探す行為”から、“意図を理解し、提案を受ける体験”へと進化しています。
セッション “Leveling Up on Search in the AI Era” では、Athleta、Target、Edible Brandsの3社が、AIとモバイルアプリによって購買体験そのものを再設計していることを語りました。
AthletaのChief Digital Officer、Michelle Goad氏は、顧客が検索窓に入力する瞬間、それは「何を探すか」ではなく「どんな気分や目的で動いているか」を言語化する行為になっている。
ブランドはこの“検索意図”をリアルタイムに分析し、アプリ内で商品やコンテンツを動的に変化させることで、顧客理解を深めています。
例えば、スーパーボールでケンドリックラマーがフレアパンツを着用した翌日、AIがその検索トレンドを検知。アプリのトップ画面に関連スタイルを即時に反映し、SNS・EC・店舗を横断したプロモーションを展開しました。AIとアプリが連動することで、ブランドは「文化のスピード」で顧客体験を動かすことができるようになっています。
Targetは「Search-to-Solve(検索から解決へ)」という言葉を使います。
たとえば顧客がアプリに「子どもの部屋を春らしくしたい」と入力すると、AIがテーマ提案・関連商品・スタッフおすすめの組み合わせを提示。
Edible Brandsはギフト需要をAIで予測し、「誰に」「どんなシーンで」贈るのかを理解して提案を返す。
いずれも“検索”ではなく、“目的を共に解決する”体験です。
「顧客の目的データベース」の重要性
AI時代の購買体験では、PDP(Product Detail Page)よりもPIP(Purpose Information Page)目的を中心にした体験設計が重要になります。
商品情報ではなく、「この商品でどんな目的が叶うか」を示すをことが必要です。
アプリはその最前線で、購買履歴ではなく“意図履歴(Intent History)”を蓄積し、AIとの連携で一人ひとりに最適な発見を届けるハブになっていくのです。