【ShortNote】好きな文章は、ありますか? (5月1日配信分)


「光のスペクトルにおいて、赤の長い波長がまっすぐ進むのに対し、青の短い波長は四方に拡散し、空間のなかに溶け込んでゆきます。手につかむことのできない空や水に象徴されるように、青はその深みにおいて認識される色であり、それゆえに古代より人々の憧憬の念を掻き立ててきました。 〜中略〜 青は光と闇、生と死のあわいに現れる色でもあります。そして人々が内省へと向かう今にあって、青は私たちの心にもっとも浸透する色と言えるかもしれません。」

この文章は、2021年〜2022年にかけて金沢21世紀美術館で開催されていた、「青」をテーマとするコレクション展の概要文の導入部分です。私はこの文章が大のお気に入りで、今でも時折この文章を見返しては「すごいなあ」と感動しています。

この文章の素晴らしさは、青の魅力を抽出する独特の感性と、その独自性が持つみずみずしさを損なわないままに、私のような凡人にもきちんと腹落ちできるような構成力と文章力でまとめあげられている点にあると思います。

AIによって文章そのものは簡単につくることができるようになっていますが、使っていて感じるのは、「文章の良し悪しを判断できる物差しの重要性」です。日々の中でふと見つかる優れた文章やコンテンツの何が素晴らしいのかを考えて、自分の血肉とするのかが、多岐にわたる便利なAIツールを駆使していく上で、より一層大切になっていくと感じています。

※本記事は、yappliで配信をしているコラムメール「ShortNote」で配信をしたコラムを転載しております。

和泉真

大学卒業後、コピーライター/プランナー/クリエイティブディレクターとして複数の広告会社を経験。三越伊勢丹や東急ハンズ、東急百貨店やJINSなどの広告プロモーションやブランディング施策の企画・制作を担当。2021年にヤプリに入社し、マーケティング担当としてコンテンツマーケティングなどに取り組んでいる。