抱えていた課題
三菱UFJ信託銀行は、国内外の世界経済の中心地に活動拠点を置き、個人のお客様を対象に遺言・相続などを取り扱うリテール業務のほか、法人を対象とした不動産事業、年金事業、証券代行事業など、幅広い業務を展開しています。アプリを導入する背景として大きかった課題が、従業員の”情報へのアクセシビリティの低さ”です。従業員エンゲージメントを高めるために、福利厚生の充実や、キャリア開発のサポート、人事制度の見直しなどを試みてきたものの、企業の思いや具体的な取り組みをしっかりと届け、浸透させることに苦戦していました。社内ポータルを運用していますが、社内PCからしかアクセスできず、UIに課題がある等決して使い勝手が良いものではなく、他にも社内の情報共有ツールなどが乱立しており、かえって情報共有を困難にしている側面もあったと思います。また、現場の従業員からは日々のタスクをこなすことに一杯一杯で、広い視野で様々な情報をチェックする余裕がなくなっているという声も入ってきました。ただでさえ日々忙しいのに、使いにくい社内ポータルで情報を細かくチェックする時間は捻出できないはず。ゆえに、業務の合間にも気軽に確認できて、従業員一人ひとりの仕事やキャリア形成などの参考となるような情報を網羅できるような存在が必要だとなりました。
Yappli UNITEを導入したきっかけ
そして色々検討した結果、Yappli UNITE(以下、UNITE)によって従業員のためのスマートフォンアプリを開発するという方法に辿り着きました。「Kakehashiアプリ」という名前で、その名の通り、会社と従業員や従業員同士の架け橋となることを目指したアプリです。ただ、検討初期からスマートフォンアプリに決めていたわけではなく、他にも様々な手段を模索しました。例えば、同じアプリでもWebアプリの方が比較的安価に開発でき、保守運用も容易なのではないかと思っていました。しかし、色々リサーチしている中でUNITEのこと、そしてノーコードという概念を知り、考え方がガラッと変わりました。また、メールなどと比べて高い開封率と言われているプッシュ通知が魅力的だったことや、セキュリティ面に関して我々の心配を一つひとつ丁寧にクリアするご説明をヤプリさんからいただいたことが、UNITEにした大きな決め手だったと思います。実際に開発が進んでからも驚きが多かったですね。経験上、アプリ開発は要件をあらかじめしっかりと詰めて、それを忠実に実装していただくという進め方だと思っていました。ですが、要件が定まってからの実装段階でも、「ここを少しだけ変えたい、こうしたい」といった細かな要望に柔軟かつスピーディーにご対応いただけて、「ここまでカジュアルにつくれるんだ」と、アプリ開発への印象が大きく変わりました。
アプリの活用方法
Kakehashiアプリでの具体的な取り組みでまず挙げられるのは「社内コンテンツの一元化」です。経営陣からのメッセージを動画コンテンツとして配信しているほか、社内ニュースとして各事業部の取り組みや活躍している従業員の紹介をしていたり、キャリア関連情報や福利厚生、従業員特典などの内容まで幅広く発信しています。これで、社内PCがなくても気軽に情報をチェックできるようになりました。プッシュ通知も積極的に使っていて、現状は毎日1回のペースで行っています。各事業部の取り組み内容については、アプリのコンテンツチームで取材することもあれば、部署側から「この情報を発信して欲しい」という依頼がくることもあります。アプリ導入前から、社内報で共有する文化があったのですが、紙と違ってアプリなら載せらせる情報量に融通をきかせられるので、掲載する内容はあえて厳選はせず、多くの部署や従業員が発信しやすいようにしています。また、「今日の運試しチャレンジ」というエンタメ性を持ったコンテンツも実装。毎日ランダムに決められたポイントが従業員に付与される仕組みで、アプリを毎日開く行為が習慣化することを期待しています。日々のアプリの運用は私たちで行っており、導入決定時に感じた“わかりやすさ、使いやすさ”を実感しています。UI/UXデザインにおける自由度も高く、「アプリの運用って楽しい」と率直に思いながら取り組めています。
効果と今後の展望
アプリのダウンロードは強制ではないにもかかわらず、リリース後1ヶ月で2,000を超えるダウンロード数を記録しました。その後も順調に増え続け、リリースから5ヶ月後の現在(2023年9月時点)では、社員の約半数がダウンロードしています。プッシュ通知の反響も良く、中には開封率50%、つまりアプリをダウンロードした社員の2人に1人は内容をチェックしたコンテンツも出てくるなど、確かな手応えを得られています。従業員からのポジティブな意見も多く出ており、例えば「自分のスマホでいつでも見たかった資料を見ることができてとても便利」と言った声や、「業務が忙しい時にはなかなか目を通せなかった情報も、スマホからなら気軽にしっかりチェックできてありがたい」、「スマホアプリが良い意味で当社っぽくない」といった声を受け取っています。今後の展望としては、従業員が日常的に、アプリを自然と使うような形を目指したいです。かつて社内ポータルを軸にしていた時は、従業員が能動的にポータルへ情報を取りにくる形でしたが、そうではなく、従業員にとって必要な情報が、アプリを通じて各従業員に集まってくるのが理想系だと考えています。そのためにはアプリの利用状況を分析し、従業員が本当に必要としているコンテンツは何か、どのタイミングで共有するのが適切なのかなどを見極め、より使いやすいアプリへとブラッシュアップしていきたいと思っています。