Yappliを導入したきっかけ
2018年に遡る話ですが、当時、様々なファッション・アパレルブランドがアプリに注目していたものの、リーバイスの公式アプリを運用していたのはアメリカやヨーロッパなどの一部だけで、アジアでは展開されていませんでした。我々もECの売上アップをKGIとして、そのためのリピーター育成など、アプリ施策に取り組む必要性を感じていました。ただ、アジアではまだ前例がないアプリ開発・運用をフルスクラッチで行う想定で見積もりを立てても採用される可能性は低いだろうと考え、代案を探していた際にYappliを知りました。それでコストの問題もクリアし、アジア初の事例としてアプリ運用が始まりました。実際に運営して感じているYappliの魅力は、ノーコードの気軽さと柔軟性です。例えばアプリ上で新しい発信をしようとなった際に、企画〜発信までおよそ3日間ほどでこなせています。つまり、自分たちの仮説を元にアプリ体験を即座にアップデートし、その反応を得て次のアクションに活かすというサイクルを高速で回せるのが素晴らしいです。そして、アプリの存在感が社内外問わず大きくなってきた中で、お客様がより使いやすいUI/UXに進化させるために、2023年に大型リニューアルを実施。このリニューアルでは、アプリならではの体験やコンテンツをご提供することに注力していて、例えばアプリ限定クーポンやデジタル会員証はその一環として力を入れています。
アプリの活用方法
アプリでは先述したアプリ限定クーポンやデジタル会員証のほか、新発売のアイテムや、トップス/アウター/ボトムスなど、カテゴリー別にアイテムをご紹介しており、アプリ経由でご購入いただけます。また、STAFF START(スタッフスタート)という外部の接客DXサービスと連携させてスタッフスナップを展開しており、アプリ内のコンテンツの中でも特に良い反応を得られています。アイテムの詳細ページからスタッフスナップへ遷移するのではなく、まずスタッフスナップを見てから、そのスタッフが着用するアイテムをチェックされるお客様も多く、スタッフスナップを見て実店舗にいらっしゃる方も珍しくありません。また、プッシュ通知は週に3〜4回の頻度で配信しており、メールよりもさらに早く、確実に、お客様が必要とする情報をお届け出来ることが魅力です。特に、セールや新着アイテムのご案内など、情報の鮮度がとりわけ重要なコンテンツで重宝しています。我々は他ブランドとのコラボレーションアイテムを定期的にローンチするので、特にエンゲージメントが高いであろうアプリユーザーのお客様にはプッシュ通知も歓迎されている手応えがあります。アプリをより多くの方にダウンロードしていただくための取り組みとしては、店内の試着室など、来店されたお客様の目に触れやすい位置でアプリのご案内をしたり、接客時にダウンロードを促すように各店と密に連携しています。
導入後の効果
アプリの累計ダウンロード数は20万を優に超えており、月間アクティブユーザー数は5万人以上です。このユーザーは顧客の中でも特にリーバイスへのファン度が高いはずで、こういった方々とつながり続けていられることには大きな価値があると思います。アメリカやヨーロッパと比べても、日本での売上は右肩上がりで伸び続けていますが、アプリの存在は確実にこの好調を支えている実感がありますね。お客様が主にどのチャネルを経由して商品をお買い上げいただいているのかを分析したところ、初めての購入がアプリ経由でという方も多くいらっしゃることがわかりました。実店舗での初回購入時にアプリをダウンロードして、2回目以降のお買い物をアプリでというように、リピート購入、つまりCRMの軸としてアプリをご利用いただけるシーンが多いだろうと思っていましたが、新規顧客の獲得にも大きくアプリが寄与しているということは、想像以上の手応えをもたらしてくれました。そして、2023年に大型リニューアルをしてからも、より良いUI/UXにするためのトライ&エラーを日常的に続けています。表示するカテゴリーやコンテンツの位置順を少し変えるだけでも結果は変わってきますし、我々のようなアパレルブランドは発信する内容の移り変わりも顕著なので、思い立ったらすぐに、思い通りのアプリ体験を自由度高く設計できるYappliのノーコードのメリットは計り知れません。
今後の展望
2024年9月には、ようやくオフ&オンラインの会員基盤を統合することができました。ここが一元管理できるようになったため、店舗もECもご利用いただいているクロスユーザーの顧客データが扱いやすくなり、OMO施策のPDCAが回りやすくなるのではないかと期待しています。先述したようにリーバイスジャパンは好調ではあるものの、アパレルブランドを俯瞰的に見ると厳しい状況に立たされているブランドは少なくありません。一方で、優れた結果を出せているブランドの多くがOMOに注力しており、弊社も同様の視点を持っています。なので、店舗からアプリへ、アプリから店舗へという顧客行動を促す取り組みには今後も注力していきたいですし、そのコアとしてアプリがあると思っています。そして、特にアプリを通じたコミュニケーションに関しては、もっとパーソナライズを強化した発信をしたいと思っています。アプリはやはり1to1コミュニケーションに強く、ゆえにCRMの側面で真価を発揮すると思うので、例えばマイページ部分をより充実させつつ、アプリを利用する価値をもっと多くの方々にお伝えしたいと考えています。また、Yappliは他社のツールとの連携力も強いですし、ヤプリの担当者さんは弊社からのご要望を柔軟に受け止めて反映してくださるので、やりたいと思ったことを今後も積極的にご相談しながら、理想的な顧客体験へと進化させ続けたいですね。