Yappliを導入したきっかけ
私たちは国内に39店舗のレストランを展開し(2024年12月現在)、一つひとつ丁寧に店舗づくりを進めてきました。お客様とのより良いコミュニケーションを考えるきっかけになったのは、コロナ禍の店舗休業や営業時間の短縮です。当時は店舗ごとに集客を進めていたので、お気に入りの店舗だけに来店が集中し、店舗間の相互送客が十分ではありませんでした。その結果、リピート率が伸び悩む結果に。そこでHUGEグループ全体の魅力を伝えるため、2021年6月に会員制公式予約システム「The HUGE CLUB」をスタート。メルマガなどで多くの会員を獲得できましたが、コミュニケーションが一方通行の印象で、コアファンを増やすまでには至りませんでした。
店舗ごとの魅力と世界観をしっかり伝えながら、より良いコミュニケーションを実現しようとするなかで、たどり着いたのがアプリ開発です。しかし、そこで課題になったのが導入後の運用コストでした。アプリやプログラミングについて専門知識を持つスタッフが社内にいなかったので半ばあきらめていたときに、誰でも直感的に運用できるノーコードのアプリ開発を知りました。合計3社を検討しましたが、Yappliのプラットフォームは簡単に操作できて、HUGEの世界観を細部まで表現できる。UIが圧倒的に優れていたのはもちろん、さまざまな施策に対応できる「機能の拡張性」と専任の担当者が伴走してくれる「サポート体制」に安心感があったので導入を決めました。
アプリの活用方法
アプリの機能で特に活用しているのは、各種のイベントを案内するプッシュ通知です。利用店舗のエリアなどお客様の行動データをもとに、情報をカスタマイズしながら配信していますが、同じように送信しているメルマガと比べて反応率が高いですね。配信の時間帯はいろいろと試行錯誤していますが、私たちのコンテンツは比較的長めの文章が多いのでゆっくり読める夜8時以降の方が開封率は良い傾向にあります。
公式アプリのリリース時期には、ダウンロードでポイントを獲得できる記念キャンペーンを実施しました。さらにダウンロードを促進するため、店舗ではQRコード入りの案内カードを配布。食事の後に初回来店時のポイントもその場で付与することで、次回の来店予約に繋げています。また、スマートフォンのブラウザで「The HUGE CLUB」を開いたときには、アプリの利用を促すポップアップを表示。店舗とWebの両方から、アプリをスムーズに使っていただける動線を設計しています。
また、店舗間の相互送客を強化する施策として、現在位置から近隣の店舗をサジェスト表示できる機能を活用しています。例えば、ある店舗を利用しようとして満席で入れなかったお客様が、アプリでマップを開けば近くの店舗をすぐに調べられる。渋谷などには複数の店舗があるので、混んでいたら別の店舗を利用するなど以前よりも店舗間の流動性が高まっています。
導入後の効果
アプリの累計ダウンロード数は13万を超えており、現在も順調に増え続けています。リピート率やアクティブ率も高い水準をキープしており、アプリの通知をきっかけに遠方からご来店いただくお客様も多いですね。また、アプリ上でユーザーの行動を見ることで、どんなコンテンツに興味があるのか理解しやすくなりました。
特に反響が大きいのは新店舗のプレオープンイベントです。プッシュ通知後に申込が殺到することもあり、HUGEの店舗そのものに魅力を感じていただけることを実感します。実際の店舗でも「予約が取りやすくなった」という声を各所でいただきます。以前はお客様が自ら公式サイトに行かないと情報を取得できませんでしたが、今は待っていてもアプリとメルマガで有益な情報を届けられる。リピート率を考えたときに、この差は非常に大きいと思います。
また、アプリを通じたコミュニケーションが、お客様の新たな気づきにつながることも。例えば、HUGEから少し遠ざかっていたお客様が「こんなお店できたんだ」と新店舗に来店される。他にも「職場はこっちの方が近い」と複数の店舗に通われるケースもあります。アプリでお客様との接点が増えたことにより、HUGEの利用シーンがさらに広がっていることを実感しますね。39店舗のほとんどに通われているコアファンも増えたので、利用金額に応じてポイント還元率を高めに設定するなど、お客様にとってより良い仕組みを目指しています。
今後の展望
アプリ運用の2年間でお客様との双方向のコミュニケーションを実現し、リピーターも確実に増えてきているので、今後さらにアプリの利用を活性化していきたいと考えています。具体的な施策として考えているのは、リピート率向上を目指したロイヤルティプログラムの提供です。利用頻度の高いお客様に向けて、レストランの予約が取りやすくなる仕組みやポイント付与率のアップなど、さらに愛着を感じていただける特典を提供していく。アプリ上でも会員証をリッチにするなど、ワクワクするような体験を提供していきたいですね。
また、来季の計画の中には、顧客の利便性を高めて売上を促進するためのEC活用および店舗のモバイルオーダー機能の統合が含まれています。私たちはECでワインショップを運営していますが、今後はECと店舗をつなぐハブとしてアプリを活用する。そして、HUGEのニュースや最新情報もリアルタイムに届けることで、すべてのユーザーのエンゲージメントを高めていきたいと思っています。
お客様にとってアプリが居心地の良い場所になれば、レストラン予約での第一想起も獲得できると考えています。そのためにはユーザーフレンドリーなインターフェースの作成や新機能のスムーズな統合など、アプリ関連の新たな開発も必要になってくると思います。それでも、Yappliの機能拡張性とサポート体制ならスムーズに進められると信じています。