抱えていた課題
立教大学校友会は立教大学の卒業生によって構成される同窓会組織で、国内外合わせて190以上の支部があります。会報誌発行やイベント開催など、親睦を深める機会を提供することで愛校心や帰属意識を育み、大学の発展につなげることを目的に活動しています。
アプリ導入以前の情報発信は、お知らせのある対象の方に対して個別に郵送で通知するか、年4回発行の会報誌が主な手段でした。SNSも運用していましたが、利用者はごく一部という状況。特に郵送は一方的なコミュニケーションになりがちで、自発的にアンケートを取らない限り、年代や性別・職業…どの属性にいる卒業生が校友会に興味を持ってくれているかが測れない点は大きな課題でした。そんなとき、別大学の校友会で卒業生の会員証をデジタルで作成して有効活用している事例を耳にしました。
立教大学の卒業生であることを証明する「デジタル校友会員証」を作ることで学内のサービスをスムーズに受けられる可能性がアップし、母校への帰属意識を高めることに貢献できそうだと考えました。また、校友会はご年配の方が多くいらっしゃるのですが、今後も組織を持続的に運営していくためには20〜40代の方々の会員数を増やしていかなくてはなりません。その点でも、会員証を紙ではなくデジタルで発行する必要性は大いにあると思いますし、また、大学側からの要望もあり、会員証機能を備えたアプリの導入を決定しました。
Yappli UNITEを導入したきっかけ
Yappliを選んだ決め手は、先ほどお伝えした他大学のデジタル会員証もYappliで実現していたこともあり、その実績が大きな後押しとなりました。他候補との迷いもありませんでしたね。管理画面は基本的に1人で操作しているのですが、専門的なノウハウがなくてもノーコードで使いやすく、直感的に操作可能で非常に魅力的です。新しい担当者が入った場合でもスムーズに引き継げる点もいいですね。
リリースしたアプリでは校友会の活動内容や大学のニュースを会員の皆様によりタイムリーにお届けしています。プッシュ通知は月2~3回、例えばお正月の箱根駅伝の特別動画など大事なニュースや特にお知らせしたい情報を厳選して送るようにしています。もちろんアプリ検討のきっかけとなった「デジタル校友会員証」機能も搭載。大学内の図書館へ入館する際には、アプリの会員証画面を身分証として使っていただけます。
元々精力的に校友会の活動に参加して下さる方は50~70代の方が中心でしたが、アプリ利用者は20~40代の方も増えてきており、幅広い世代の卒業生に校友会の活動を知ってもらい新たなタッチポイントの創出につながっていると実感しています。
アプリの活用方法と効果
2024年7月リリースからの約半年でダウンロード数は当初の目標の2.5倍を達成。メールマガジンや会報誌で地道にアプリの告知をしているのですが、想像以上の反響に驚きました。
これまでのアプリ施策として特に反響が大きかったのは卒業生限定のアプリキャンペーン企画。プッシュ通知からGoogleフォーム経由で応募、その中から抽選で校友会グッズをプレゼントする内容でしたが300人以上応募があり効果が大きく驚きました。アプリであれば必ず卒業生であるという確証が取れるので、卒業生限定の企画が打ちやすいツールだなと感じています。月2~3回の校友会活動内容や大学ニュースのプッシュ通知のほか、母校に足を運んでもらう機会を増やすため、校友会や大学が主催するイベント案内もプッシュ通知で配信。定期的に開封率を見るようにしています。これらの発信に関して、「中でもこの配信は反応が高いだろう」という見立てと実際の数値が異なることもあり、このギャップを一つひとつ埋めていくことで会員の皆様のニーズをより掴みたいですね。
また、校友会を維持するための会費を任意でいただいているのですが、アプリを導入したことで、その費用をクレジットカードで納入くださる方の件数と金額が約4倍になりました。クレジットカード決済は以前から可能だったのですが、認知度が低く、アプリでも告知したことで初めて知ってもらえたのだと思います。
今後の展望
会報誌やSNSなど、アプリ導入以前にもなるべく幅広いチャネルで校友会の情報発信を続けてきましたが、かえってまとまりがなくなってしまい、伝えたい情報がバラバラになってしまっていた側面もあったかと思います。それがアプリに集約されたことによって、クレジットカード決済の件数が増加したように、各媒体で埋もれてしまっていた情報がきちんと届くようになりつつあります。年齢が若ければ若いほど、忙しい日常の中で校友会のHPを自分で検索して見てみようという方はなかなかいないと思うので、プッシュ通知が来た時にアプリで気軽に見ることができるようになったことは、体験として大きく進化したと思いますし、コミュニケーションの基点としてのアプリのポテンシャルの高さを感じます。
実際にアプリユーザーの方から「10年、20年経つと自分が立教大学の卒業生だという意識が年々薄れてきていたが、アプリがきっかけで母校への親しみが高まった」というお声もいただいています。卒業生は幅広いジャンルで活躍している方が多く、在校生の成長のためのコンテンツを企画・協力いただくこともあるので、卒業生とつながり続けていることは在校生ならびに立教大学全体にとっても大きな価値となります。現在は校友会からの情報発信がメインの運用になっていますが、ゆくゆくは校友同士が交流できる場にして、つながりをより強固なものにしていけたらと考えています。