アプリを導入したきっかけ
もともと自社アプリはあったのですが、2013年にリリースして以来、ほぼ放置されていました。トレンドをいち早く取り入れようと、目的が明確にならないままリリースされたと聞いています。会社としてもアプリのビジネス活用にそれほど前向きではなかったため、これまで放置されていたのかと思います。
私が現在の役職に就任してから、一番最初に着手したのはアプリのリプレイスでした。旧アプリはアプリ名にブランド名や会社名を冠しておらず、お客様から認識されにくいものでした。時代の流れも変化しておりましたので、これを機に開発パートナーから一新しようと考えたのです。
当社はこれまで、実店舗を軸に事業を推進してきました。実店舗を軸にするということはつまり、どんどん出店し、床面積を増やして売上を上げていくビジネスモデルだということです。ただ、世の中的な流れでもありますが、実店舗だけでは売上を増やしにくくなっています。これまでの成功事例にとらわれていては先がないと考えていました。
そんな折、当社では2018年6月に経営理念を刷新し、「ありがとうと笑顔の連鎖を作る」というわかりやすいメッセージを打ち出しました。関係者全員が笑顔でつながり、さらに連鎖していくような事業を展開していこうという気持ちが込められています。
この経営理念は、「人」を軸に据えています。であれば、事業戦略も「人」を軸にするべきだと思いました。今までのように床面積の拡大を図るのではなく、顧客接点を拡大する方向にシフトするべきだと。
顧客との接点を増やし、どのような方に購入いただいているのかを把握するのであれば、メンバーズプログラムをより活性化させるのが一番の近道だと考えました。メンバーズプログラムはもともとプラスチックのカードを利用していたのですが、必ずお持ちいただく必要があることや再発行の手間などから、お客様の利便性がイマイチだと思ったんです。様々な手段を検討し、CRMも考慮すると、アプリが一番効率的だという結論に至りました。
なぜYappliか?
アプリを構築するにあたり、「スピーディに進められるか」「予算を抑えられるか」の2点はどこの企業も重視するポイントだと思いますし、当社もそうです。Yappliはその2点に関して文句なしでしたが、導入の決め手になったのは「運用スタッフにとっての使いやすさ」でした。
お客様にとって使いやすいアプリにするのは当然で、その点はどこの企業もある程度担保しています。ただ、運用面での使いやすさに考慮しているところはあまりないんですよ。 ツールを導入したものの使いこなすのが難しく、運用にのせられなくて莫大な予算が無駄になるケースをたくさん知っていたので、専門的な知識がないスタッフでも運用できるかどうかはかなりチェックしましたね。 アプリ開発企業数社に相談したのですが、Yappliの管理画面の使いやすさは頭1つ抜けていました。マニュアルなしで直感的に操作できそうだなと、ひと目見ただけで感じました。
2018年8月にYappli製「NEUVE A MEMBER'S アプリ」をリリースし、それから1年弱運用していますが、当初の想定通り使い勝手はとても良いですね。 いくら使いやすいとはいえ、さすがに初期段階ではわからないことが多数あったのですが、管理画面上に設置されているサポートチャット機能のおかげで難なく乗り越えられました。とにかくチャットのレスポンスが早く、内容も的確だったので、問い合わせ時のストレスはゼロでした。
アプリを導入してどうか?
まず、DL数が順調に伸びています。「NEUVE A MEMBER‘S アプリ」をリリース後、1ヶ月で旧アプリの総DL数を超え、半年で4倍になりました。 また、会員の全購買(実店舗・EC含む)に対する、アプリが関与した売上は4割弱にまで上がってきています。
メンバーズプログラムへも良い影響が出ていますね。貯めたポイントを利用する際は、メンバーズプログラムへの個人情報登録が必要なのですが、プラスチックカードを利用していた時は個人情報の登録に至る会員は3割ほどだったのが、アプリ移行後は8割に向上しました。アプリ化することで手間が減り、登録ハードルがぐっと低くなったのが大きいと思います。
店舗スタッフからも、会員登録まわりの運用が簡単になったと喜ばれています。事業的にも良い結果が出ているし、まさしく関係者全員がメリットを享受して、笑顔が連鎖する状態になりつつあるのではと感じています。
今後の展開
今後の展望としては、アプリを通じてあらゆる境界をなくしていきたいと考えています。実店舗とECの融合にとどまらず、各ブランド間の連携も視野に入れています。当社は多数のブランドを保有していて、客層もかなり重複しているはずです。ただ、現状は各ブランド縦割りで運営されており、ほとんど相互送客できていません。
「NEUVE A MEMBER'S アプリ」は全ブランドの情報やオンラインストアが包含されています。アプリを仮想商業施設とすると、その中に存在するブランドを回遊するのはとても簡単ですよね。そのようにして各ブランドの認知を上げつつ、全ブランド共通で使えるポイントプログラムを軸にすることで、各ブランド同士をスムーズに連携させることができると思っています。