アプリビジネス最新レポート Vol.58【導入事例 − 料理研究家 土井 善晴 氏】

アプリは想いを表現できる
会員数は1.5倍に

料理研究家 土井 善晴 氏

アプリを導入したきっかけ

既存メディアを使い分け、
アプリが土井先生の発信拠点に
Yappliは運営ポリシーと合致した

土井善晴の和食アプリは、株式会社ヤプリが運営する有料課金アプリです。もともとは、デアゴスティーニ・ジャパン社が土井先生のレシピ本を出版する傍ら、2016年に新しい媒体としてアプリの導入を決定したのが始まりでした。本の内容をそのままアプリ化するのではなく、コンテンツも新たに制作していたのです。その後2018年にライセンス譲渡を経て、現在主に5名のメンバーで日々運用しています。

先生はテレビや書籍で情報発信を行ってきましたが、例えば書籍の場合、書店へ並ぶまでに最低1・2年はかかりますよね。伝えたいことを、鮮度高くタイムリーに発信できるプラットフォームがアプリです。TwitterやInstagramのような、SNSも並行して使っています。アプリにコンテンツが蓄積されることで、切り出して再利用も可能ですし、先生には「商品価値が高い」ことをメリットと感じていただいています。

また、運営チームのポリシーとして、企画決定から実行のリードタイムを短くすることを意識しています。Yappliはやりたいと思ったらすぐにCMSでコンテンツづくりができるし、機能の選択肢が多いため、組み合わせて様々な企画を実現できる自由度が持ち味です。大事にしている軸とYappliのメリットがうまく合致していると感じています。

アプリの活用方法

「継続して更新することは義務」
毎週ミーティングを行い、
ユーザーの声を反映したアプリに

季節に応じた、旬のレシピ動画を毎週配信しています。課金アプリなので、更新し続けることはもはや義務ですね。コンテンツ制作は、ユーザーニーズや時流に合わせて企画を検討し、Yappliの機能の組み合わせで実現しています。2020年は巣ごもり需要に応えるアレンジを加えました。

2019年のクリスマス企画では、レシピ動画と連動したフォトフレームを作成しました。SNSで広告とともに配信したところ、ユーザーの投稿をきっかけにバズり、1日のダウンロード数が企画実施前の3倍に伸びました。このようなシーズンイベントは必ずおさえ、合計23万人のSNSフォロワーの反応を見ています。先生の個人アカウントが他にありながら、2018年に開設したInstagramは、1年で10万フォロワーを獲得するなど毎日地道に更新しています。一度配信頻度を下げたら、有料会員の登録率が上がらなくなり、試行錯誤を続けています。

他にも、定期的なユーザーアンケートをプッシュ通知で配信しています。直近は1週間で3,000件近くの回答が集まり、運用に活かすことができました。具体的には、アプリの満足度や利用を始めたきっかけ、普段アプリを起動するタイミングや競合アプリの利用動向など、定量定性にこだわらず回答いただいています。

ユーザー参加型の企画を実施したり、レビューやアンケートを参考に日々アプリの改善を続けていくのは、とても大事なことですよね。

導入後の効果

愚直に改善を積み重ね、
課金アプリの売上は順調に成長
料理を作るだけではない魅力を発信

有料課金アプリとしての単月売上が、昨対比で約150%の成長を続けています。AppleのApp Storeで毎日更新される「Today」にも何度か選出されましたが、愚直な改善や工夫を積み重ねていくだけで、奇をてらったことはしていないんです。

SNSを休まず更新し、ユーザーが飽きないよう、コンテンツの新鮮さを保っています。レシピアプリなので季節感を表現しつつ、いつもプラスアルファの情報を提供するという点も重要なポイントです。例えばいつもと違った食材の切り方で調理のアプローチを変えたり、同じ料理でも紹介するたびに内容を変え、楽しんでもらえる仕掛けを入れています。

また、ユーザーの反応も上々です。先生はレシピ動画のなかで、語りながら料理をされますが、話を聴きたいがためにアプリを開く方がとても多いんです。「土井先生の声が聞けて安心しました」という感想をよくいただきますね。これは競合の多いレシピアプリの領域で、他アプリとの差別化を図ってきた結果だと思います。運営としては料理の背景を取り上げたり、料理を作る心理的なハードルを下げる工夫をしており、他アプリの真似ごとはしていません。

あくまでこのアプリの主語は、料理ではなく、土井先生です。料理の作り方とともに、安心や癒やしをお届けする、先生のエッセイであると私たちは感じています。

今後の展望

先生とユーザーがより身近な存在に
想いを伝え続ける媒体でありたい

ユーザーの嗜好に合わせた情報発信や、参加型イベントが企画できたらと考えています。先生も日頃から「ユーザーとの距離を縮めたい」とおっしゃられ、これからの時代はそうなっていくと認識されています。

先生はアプリについて、他メディアに比べて自由度が高く、本当の想いを伝えられると考えています。例えば、「次の世代に良いものを残したい。人間を人間たらしめることは料理や掃除などに原点がある。それらをいかに楽しくするかのヒントが、アプリにごろごろ転がっている。」と。また、先生は度々「ええかげん」という言葉を使います。「ひとりずつ身体で感じる加減があって、理屈では説明できない判断軸を持っている。アプリでの私の話を通じて、自分自身の加減を信じられるようになってくれたら嬉しい。」と思っておられるのです。

先日、先生にお話を伺い、「普段の私そのままを表現している。昨日とも去年とも違う自分と、その時々の素材や場に反応して発信できるのが、何よりもアプリの良いところ。」と教えていただきました。これからも先生の想いをタイムリーにお届けしていきます。

料理研究家 土井 善晴 氏
大学卒業後、スイス・フランスでフランス料理を、大阪の「味吉兆」で日本料理を修業。料理学校勤務後、1992年に独立。日本の伝統生活文化を家庭料理を通じて現代の暮らしに生かす術を提案。食育の講演会、出版、メディア、大学などで指導。レストランプロデュースなど活動は多岐に渡る。
アプリは旬の食材を用いた料理を動画やテキストレシピで配信。料理教室のように料理や食材を解説する動画エッセイが特徴。

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