ナイキやソフトバンクホークスが本気で取り組む、モバイルアプリCRMとは?

マーケティング施策のひとつとして、CRM( Customer Relationship Management:顧客関係管理)に取り組む企業は多い。しかしCRMの効果がイマイチ感じられないところも多いようだ。

日本オラクルが2018年1月に実施した調査によれば、CRM導入企業の約70%が「顧客管理ができている」と回答。一方で「既存顧客の売上拡大できている」という回答は8%にとどまる。(※1)

そこでCRMの新しいトレンドとして注目されているのが、モバイルアプリ。2018年12月には、ナイキ(NIKE)が日本でもCRM戦略の要となる新アプリを提供、話題を集めた。

またプロ野球リーグの福岡ソフトバンクホークスも、アプリによるCRMで効果を上げている事例としてメディアにも取り上げられている。そこで2社の事例をもとにCRMにモバイルアプリが有効な理由を探っていこう。

※出典1:https://special.nikkeibp.co.jp/atcl/NBO/18/oracle0402/?P=2

ナイキではアプリで新たなCRM戦略を進める

海外ですでにリリースされていたナイキのアプリ「ナイキアプリ」が日本でも2018年12月に提供がスタートした。ナイキでは、このアプリを新たなCRM戦略のプラットフォームと位置付けているようだ。

CRMで使うデータと言えば、購入データやユーザー属性が一般的だろう。しかしナイキでは、Webサイトや他のアプリで集めたさまざまなデータを統合。「ナイキアプリ」をプラットフォームとして、徹底的なパーソナライズを目指す。

特にトレーニングアプリ経由で集めたユーザーのトレーニングデータは、ナイキならでは。

ユーザーがスポーツに取り組む状況も、パーソナライズに活用できる。例えばユーザーのトレーニング状況に応じて最適な商品や購入時期を予測、アプリで通知するということも今後実現するかもしれない。

「ナイキアプリ」はEC機能がメインだが、コンテンツにも力を入れている。トレーニングやスポーツに関する情報だけではなく、アスリートに関する情報もアプリで配信。アプリの豊富な機能を活用することで、より顧客との接点強化につなげている。

福岡ソフトバンクホークスもユーザー情報を統合させる戦略

ナイキと同じく顧客データの統合に取り組み、CRM戦略を進め成功しているのが福岡ソフトバンクホークスだ。

従来バラバラだったファンクラブの会員データや、チケット購入データ、グッズ購入データなどを統合。その結果、ユーザーごとに最適な情報やタイミングが見えてきたそうだ。

またデータ統合により、メールやアプリなどチャネルの使い分けもしやすくなったという。例えば数日後の試合に関するチケット情報はメールで送り、じっくり読んでもらう。一方で試合当日限定のグッズ販売など、リアルタイムな情報はアプリのプッシュ通知で配信する。

ユーザーとのタッチポイントが増えることもメリットだが、チャネルとタイミングが最適化できれば、チケットやグッズの売上にもつながりやすい。

参考 3年連続でアプリの全指標が大幅増! - 福岡ソフトバンクホークスYappli

CRMで効果を上げる2つのポイントとは

ナイキと福岡ソフトバンクホークスの事例には、共通するポイントが2つある。まずは「顧客データの統合・一元管理」だ。

チャネルごとにユーザー情報を収集している企業は多いものの、部門ごとに管理していてバラバラになっているケースも多い。しかし統合されていないと、セグメントやパーソナライズ化は中途半端になってしまう。CRMシステムにデータを統合させるのは必須だろう。

もうひとつ2事例に共通するのが「アプリならではの機能を活用している」という点。ナイキでは、ECやコンテンツ配信などの機能をアプリにまとめている。さらに先行している海外のナイキアプリでは、店舗との連動も実現。アプリで試着予約ができたり、決済機能を導入したり、モバイルアプリへの機能集約が進んでいる。

福岡ソフトバンクホークスではアプリのプッシュ通知を活用しているが、アプリならではの購入体験をユーザーに提供している。

例えばチケット購入アプリでは、QRコードタイプのチケットを採用。スマホをかざすだけで入場できる機能を搭載。友人へLINEやメールでチケットを受け渡しできる機能もある。

CRMでアプリを活用する際に、あわせて重要なのがCRMツールとアプリ開発・運用環境の連動だ。せっかくCRMシステムにデータを統合しても、アプリ運用と連動していなければ最適なタイミングでの通知は難しい。

アプリを開発・運用において、CRMツールとの連動は今後ますます重要になってくるだろう。