オムニチャネル戦略に失敗しないために、クリアすべき課題とは?

オムニチャネル戦略をとる企業が増える中、単純に店舗・ECサイト・アプリというようにチャネルを増しただけ…というケースもみられる。特にオムニチャネルにおいて課題になりがちなのが、「思った以上にチャネル間のシステム連携が大変」「どのチャネルが効果的か検証しづらい」という2点ではないだろうか。

ところがこうした課題を、アプリの活用でうまく解決している企業も。アプリを起点にオムニチャネル戦略を進める青山商事の事例をもとに、解決策を紹介したい。

(1)青山商事は公式アプリ刷新でオムニチャネル戦略を加速

「洋服の青山」をはじめ全国に800以上の店舗を展開する、紳士服販売の青山商事。ここ数年はECにも取り組む他、デジタルを駆使したオムニチャネル戦略に力を入れている。そのきっかけのひとつが2017年の公式アプリ刷新だ。

「洋服の青山」公式アプリの刷新をきっかけに、アプリとECの連動を高めたり店舗と連動したサービスも展開したりと積極的にオムニチャネル戦略を進めている。

(2)オムニチャネル最大の課題は、システム統合できるかどうか

ECサイトや店舗など複数のチャネルを設けただけでは、いわば「マルチチャネル」の状態。オムニチャネルを目指すには、在庫データや顧客データなどを統合管理できるシステムを構築する必要がある。その上でシームレスに顧客とコミュニケーションをとることが不可欠だ。とはいえ既存システムが独立していて連携しづらい、それぞれ担当部署が分かれているためにシステム連携の話が進まない…という事情もよく聞かれる。

アプリ開発や既存アプリの刷新をきっかけに、データを連携する体制を整えるという方法もある。先述した青山商事の事例では、アプリの刷新をきっかけに会員データを管理できる環境を整備。さらにECと店舗の連動も進めている。アプリなら「利用者が増え続けている」という実績が数字として明確に出せることが多く、予算確保や社内調整もスムーズになる可能性が高いだろう。

青山商事ではECで商品店頭受け取りサービスを始めた際、店舗に売上が紐づくようにしたという。このように店舗側にもメリットを出すなど、それぞれのチャネルにメリットがあるような施策も考えるべきだろう。

また青山商事では、アプリだけではなく店舗でもデジタル戦略を強化させている。新業態店舗「デジタル・ラボ」の1号店を2016年秋葉原にオープン。その後も2018年現在東京都に3店舗展開している。(2018年以降も出店を進める予定だという)

この店舗では、自社ECサイトの在庫とつながった大型デジタルサイネージやiPadを設置。スペースの狭い店舗でも豊富なラインナップから選べる。他にも購入した後も自宅に商品を発送できるサービスを設けるなど、店舗とECを融合させたオムニチャネル戦略がうかがえる。

20184月にはAI接客の導入実験を行うなど、さらに新しい取り組みにもチャレンジ。オムニチャネル戦略を進める上で、アプリをベースにしながらEC・店舗という各チャネルそれぞれを強化するという進め方は、オムニチャネルを検討中の企業にとって参考になるのではないだろうか。

(3)どのチャネルの効果が出たのか、オムニチャネルでは効果測定も重要な課題

オムニチャネルでは各チャネルがさまざまなタッチポイントとなり、ユーザーの購入につなげる。そのため「購入に直接つながったか」だけでは、十分な効果測定とは言えないだろう。

最近は直接効果のあったチャネルだけではなく、間接効果も考慮する「アトリビューション分析」に取り組む企業も増えている。ただしこうした分析を行うには、各チャネルのデータを統合して分析できる環境が必須だ。つまりマーケティングオートメーションなどのツールの導入を検討すべきだ。青山商事の場合、AI(人工知能)活用を視野に入れたマーケティング・オートメーション化に取り組むという方針を打ち出している。

なおオムニチャネルでは、売上だけではなく他の指標も重視したい。実際に青山商事のケースでも、EC・店舗の両チャネルを利用する顧客は、単一チャネル利用時と比べてある特徴がみられるという。これは、オムニチャネル利用者は1回当たりの平均購買点数・単価に変化はないものの、買い上げ頻度が大きく向上したというもの。こうした効果分析もオムニチャネルの効果を見誤らないためには必要だろう。

もちろん、企業によってオムニチャネル戦略の方向性は異なる。しかし青山商事のように、アプリを起点にすることでオムニチャネルを推進するという事例は、多くの企業にとって参考になりそうだ。



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