「モテクリエイター」ゆうこすがマーケターに伝授! SNS成功の鍵は「タグ映え」

MOBILE MARKETING UPDATE 2018レポート
基調講演:「モテクリエイター」ゆうこすが語る「明日から実践できるSNSマーケティング」

※こちらは2018年4月12日に東京ミッドタウンで行われたイベントのレポート記事になります。

アプリ運営プラットフォーム「Yappli(ヤプリ)」を提供する株式会社ヤプリが主催するイベント「MOBILE MARKETING UPDATE」が、412日に東京ミッドタウンで開催された。マーケターのモバイル知識をアップデートすることを目的とした同イベント。基調講演に登壇したのは、HKT48の元メンバーで、現在は「モテクリエイター」という新たな肩書きで活躍する、「ゆうこす」こと菅本裕子さんだ。自身のInstagramアカウントやYouTubeチャンネルで紹介した商品がわずか数分で完売するなど、若い女性を中心に絶大な影響力を誇る「ゆうこす」。その成功の鍵を、「共感」というキーワードを挙げて解説した。

SNSで人生を変えた「ゆうこす」の技に学ぶ

情報探索、コミュニケーション、購買といった消費者行動の場がモバイルへと急速に移行する中、企業のマーケターは、モバイルファーストでビジネスを設計・構築する必要に迫られている。しかし、デジタルおよびモバイル領域の変化のスピードは速く、情報のキャッチアップや実務における対応に課題を抱えるマーケターも少なくない。

そんなマーケターのモバイル知識をアップデートすることを目的に、412日に開催されたのが、ヤプリが主催するイベント「MOBILE MARKETING UPDATE」だ。昨年に続く2回目の開催となった今回は、ブランドマーケターを中心に約800人が会場に足を運んだ。

基調講演に登壇したのは、アイドルグループ HKT48の元メンバーで、現在は「モテクリエイター」という新しい肩書きで活動する、ゆうこすこと菅本裕子さん。2016年からの2年間でSNSフォロワー数を100万人まで増やし、現在は自身のInstagramアカウントやYouTubeチャンネルで紹介した商品をわずか数分で完売させるなど、1020代の若い女性を中心に絶大な人気と影響力を誇っている。

ゆうこすが「元アイドル」の枠組みを超え、タレント、モデル、SNSアドバイザー、インフルエンサー、YouTuberとさまざまな立場で活躍するに至った背景には、彼女の卓越したSNS活用テクニックがあることが知られている。SNSを通じてファンとつながり、関係を深め、行動を促す――いま多くのマーケターが喫緊の課題としているSNSマーケティングを成功させる秘訣を、ゆうこすは「共感」というキーワードを挙げて解説した。

「共感」なくして「拡散」なし

ゆうこすが「共感」の重要性に気づいた背景には、2012年のHKT48卒業後に直面した厳しい現実があった。「元アイドル」としてタレント活動を続けていたものの、待っていたのは、思うように成果が出ない日々。「アイドル時代と変わらず、完全に『男性向けの商材』として売り出していましたが、上手くいきませんでした。そこで、2016年に所属事務所を辞め、自分で会社を立ち上げて、自己プロデュースをスタートしたんです」。

2016年の初めにInstagramアカウント、年末にはYouTubeチャンネルを開設。これらのSNSを駆使して、新たなファン層を開拓していった。ターゲットとしたのは、「本当はぶりっこしたいけれど、周りの目が気になって、できない女の子たち」。彼女たちに向けて発信すれば、「ゆうこす」という商品に共感してもらうことができ、SNS上で広く拡散されるのではないかと考えたのだ。「元アイドルで、かわいくて、ぶりっこで、胸が大きい(笑)。今までのやり方では、限られた男性ファンの間で消費されていくだけだし、女性からもウザがられてしまう。起業したばかりの私にはSNSしかなかったので、SNSで生きていくためには、やり方を変える必要があったんです」。

そうして迎えた20165月の誕生日イベントは、170枚のチケットが即完売。効果はてき面だった。SNSのファンが100万人を超えた現在も、Instagramアカウントのフォロワーは78%が女性、YouTubeチャンネルの登録者は97%が女性というから驚きだ。定期的に開催される女性限定イベントは、150枚のチケットが12分で完売してしまう。

「多くの方が、SNS活用において大事なのは『拡散』だと思っているのではないでしょうか。でも拡散は、人を共感させることができて初めて起こるものです。共感なくして拡散はない。私はそれを、身をもって感じてきました。リツイートしたい、『いいね!』したいという感情を喚起するには、まず共感してもらうことが不可欠なんです」。

共感されるSNS投稿、4つのポイント

 SNS活用においては、共感が最も重要であることを強調した上で、ゆうこすは、共感される投稿のポイントを、「人に広めたい有益な情報か」「ターゲットが明確か」「“人”を感じさせるか」「ストーリー性があるか」の4つに分けて解説した。

(1)人に広めたい有益な情報か

SNS投稿は、有益な情報が盛り込まれていて初めて、見る意味が生まれる。逆に言えば、有益な情報のない投稿は、誰にも見てもらえないし、共感もされないということだ。ゆうこすは、自身が先月Instagramに投稿した2つの写真を紹介。セルフィーにファンへの感謝のメッセージを添えた1枚と、おすすめのコスメ商品の写真に、レビューを綴った1枚だ。ユーザーに役立つ情報が盛り込まれている後者のほうが、「いいね!」など反応率が圧倒的に高く、フォロワー数の増加につながったことを、データを交えて説明した。

「『いいね!』が多い投稿は、検索結果にも表示されやすくなります。有益な情報を盛り込むことで拡散につながり、より多くの共感が生まれ、フォローにつながっていくんです。私は、ひとつの投稿あたり平均2000字は文字を書きます。ファンの子からは、よく『ゆうこすの投稿は、ゆうこすのファンじゃなくても見たい』と言ってもらえます」。

また、有益な情報をふんだんに盛り込んだ投稿を行っている企業アカウントの事例として、ミレニアル世代向けの女性ファッション誌「bis(ビス)」(光文社)を挙げた。「一つひとつの投稿に、雑誌に載っている以上と言っていいほどの情報量が盛り込まれています。Instagramの情報がきっかけでファンになり、雑誌を買う人も多いようです」。

(2)ターゲットが明確か

ターゲットをあえて絞り込むことで、より強い共感を喚起することができ、拡散につながるという。その良例として、今年に入って大きな話題を集めたテレビアニメ『ポプテピピック』を挙げた。「ニッチな話題やコンテンツを元ネタとしたパロディアニメなのですが、放送中にTwitterを見ていると、タイムラインは視聴者のツイートでいっぱい。元ネタのコンテンツのファンが、熱量高くツイートしているんです」。

ゆうこす自身、ターゲットを限定することで、イベント参加者の熱量が高くなるのを感じるという。女性限定イベントの中でも、特に「18歳」かつ「新生活が始まる人」に限定したイベントを開催したところ、100枚のチケットが即完売したエピソードを挙げ、ブランドの立ち位置やSNS投稿のコンセプトを明確化することが、強い共感を喚起する上で効果的だと話した。

 (3)“人”を感じさせるか

SNSアカウントの向こう側にいる“人”の存在を感じさせることは、批判や炎上を防ぐだけでなく、「応援したい」という気持ちを強化する効果もあるという。「以前、YouTubeで炎上して落ち込んでいたら、『芸能人なのに落ち込むの?傷つくの?』という反応があって、驚きました。1020代のSNSネイティブは、SNSがあまりに身近すぎて、アカウントの向こう側に“人”がいることを理解していない人が、実は多いのではないかと思います」。

(4)ストーリー性があるか

「共感」を積み重ねていくと、商品・ブランドや企業を「応援」したいという気持ちが醸成されていく。「応援」してもらうために重要なのは、その企業・ブランドがその商品・サービスを提供する意味、つまりストーリー性だという。「例えば、私が運営している個人芸能事務所『KOS』には、4000人を超える応募がありました。それは、挫折を経験して、辛い思いもしながら奮闘してきた『ゆうこす』がやっているからだと思うんです。順風満帆なアイドル人生だったら、こうはならなかったはず。アイデアを思いついたり、挑戦してみたい事業があっても、『これって、ゆうこすがやる意味あるかな?』と疑問を感じたら、やらないようにしています」。

SNSで商品を売るための3つのポイント

SNS上で広く話題化し、支持を集めるだけでなく、SNS上での商品購買を促すソーシャルコマースに成功していることも、ゆうこすが注目を集める理由のひとつだ。

自社サービスの「TaVision(タビジョン)」は、ゆうこすをはじめ、おしゃれが大好きな「旅女(TABIJYO)」が旅先で見つけたアイテムを販売するライブコマース。発売から1分以内に完売することがほとんどで、売上は1100万円にのぼるという。「芸能人だから、ゆうこすだから売れるんだ、とよく言われますが、それは違います。TaVisionでは、私以外のTABIJYOが販売したアイテムも同じように完売しています」と話し、SNS上で支持される商品やブランドには3つの共通点があると指摘する。

まず、買うことでどんなメリットを得られるのか、付加価値を明確化すること。リアルタイム感にこだわり、販売している“人”を感じさせること。そして、商品開発や買い付けの様子も発信することで、商品・ブランドにストーリー性を持たせることだ。

これらに該当し、ヒットしているブランドの例として、ハヤカワ五味さんがプロデュースする「DoubleChaca(ダブルチャカ)」を挙げた。「Twitterに投稿された商品画像には、商品の魅力を伝える文字がびっしり書かれています。SNSでシェアするときは、この商品・ブランドのどこがいいのか、自分で説明しなければなりませんが、これだけメリットが明確化されていると、拡散しやすいですよね。加えて、メリットを伝える言葉にはハヤカワさんの個性が表れていて、“人”を強く感じる。また、アイテムの開発過程もリアルタイムで発信されています」。

「インスタ映え」より「タグ映え」

このようにSNSマーケティングを実践し、自分なりのメソッドを突き詰めてきたゆうこすが「本当は教えたくないバズらせ方」として明かしたのは、「タグる」(「ハッシュタグ検索する」の略)というキーワード。ハッシュタグ検索は、1020代にとって“呼吸するように”当たり前の行動だと強調し、企業・ブランドのマーケターには、これを踏まえたSNS活用が求められると説明した。

「気になる商品名をタグるだけではなく、バイトをしてみたいお店をタグって客層を調べたり、明日から行く旅行先の国・都市をタグって服装を考える参考にしたりと、ハッシュタグはいろいろな目的で活用されています。だからSNS投稿においては、情報量が多いことはもちろん、タグの量も重要なんです」。

しかし、ただタグの量が多ければいいというわけではない。写真とタグの内容が連動していなければ、共感される投稿とは言えないという。ゆうこすは、SNS投稿する写真は「インスタ映え」ではなく、「タグ映え」をより重視する必要があると力を込める「例えば、新しいリップの投稿なのに、引きの写真で肝心のリップが小さくて見えなかったり、柄ワンピースの投稿なのに、柄が見えないポーズをとっていたり。そうした投稿は、『タグ映え』していないということになります」。

どんなターゲットにフォローしてほしいかを決めた上で、彼らがどんなタグで検索するかを考え、そのタグが最大限に活きるような写真を撮影する。これが、企業・ブランドのマーケターが、「共感」されるSNS投稿をする上で必要な考え方といえる。また、あらかじめタグ検索をして、周りに表示されるほかの写真と差別化できるような写真を用意することも、有効なテクニックだという。

SNSでファンの心をつかみ、さらに集客や購買という成果へと結びつけるためのヒントの数々。試行錯誤を重ね、ファンの反応を肌で感じながら培ってきたノウハウが次々と披露される講演に、会場全体は熱を帯びた。



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