老舗と成長企業の通販戦略。ディノスと神戸レタスが実践するモバイルEC時代の戦い方

May 15, 2017
約 7 分

2017年4月21日に紀尾井カンファレンスにて開催された「Mobile Marketing UPDATE – トップマーケターの考えるモバイル戦略 -」。第一部に続いて第二部は、株式会社ディノス・セシール マーケティング部 マネージャー 菊池寛之氏と、「神戸レタス」を運営する株式会社マキシム 取締役 林純司氏を迎え、「モバイルECの戦い方」をテーマにしたトークセッションが繰り広げられました。モデレーターは、株式会社ヤプリのエバンジェリスト 金子洋平が務めます。

通販、テレビからWebへのディノス・セシール。ECから実店舗を出店した神戸レタス。それぞれの目的とは

金子 本日は、ディノス・セシールの菊池様、神戸レタスを運営されているマキシムの林様を迎え、「モバイルECの戦い方」というテーマで語っていただきたいと思います。まずはお二人の自己紹介、および事業紹介などをお願いします。

菊池 大手電機メーカーからディノスセシールに入社し、15年ほどになります。主にEC、マーケティング、ここ5~6年はテレビCMも担当しています。当社は1971年創業で、日本で初めてテレビショッピングを行った会社です。その年からカタログ通販も始め、1995年にはパソコン通信によるECも開始していたので、通販では老舗と言えるかもしれません。

株式会社ディノス・セシール 菊池氏

 当社は2004年に健康食品でECを開始し、2005年より「神戸レタス」という、比較的低単価で若い女性向けのファッションサイトを運営しております。2016年の楽天市場ショップオブザイヤーのレディースファッション賞、Yahoo!ショッピング年間ベストストアのレディースファッション部門2位、Wowma!(旧DeNAショッピング)ベストショップ大賞で総合グランプリをいただきました。2013年からは実店舗も展開しております。私は2008年に入社し、ECモール担当を経て、現在は公式サイトのプロモーションが主業務となります。

株式会社マキシム 林氏

金子 ディノス・セシールはテレビ、カタログ、Web、アプリと多くのチャネルをお持ちですが、それぞれの売上構成はどのような状況ですか?

株式会社ヤプリ 金子氏

菊池 Webとアプリを合わせておよそ50%、テレビが45%、はがきとファックスが5%といったところです。

金子 最近だと、テレビショッピングの番組を見ながらスマートフォンで注文する流れも多そうですが、そういった場合の売上の付け方はどうされているのでしょうか。

菊池 商品ごとにIDがありますので、ECで受注しても、テレビの担当者に売上が付く仕組みになっています。ただ、純粋にECで買われるお客様もいらっしゃるので、そこの切り分けは難しいですね。

金子 まさにオムニチャネルに直面されているのですね。逆に神戸レタスはEC中心かと思いますが、実店舗を出された狙いを伺えますか。

 低価格でネット専業ということもあり、質が悪いのではと思われることがまだまだ多く、そういったイメージの払拭と、ブランドをご存知でないお客様へのリーチ、それに実店舗があることによる安心感などの効果を期待しています。

「脱・ECモール」の流れ。売上を伸ばし続けるための広告、SNS戦略について

金子 先日の日経MJに「脱・ECモール」として、EC事業者が自社サイトを持つ流れが紹介されていました。ディノス・セシール様は楽天市場やYahoo!ショッピングをご利用ですが、この流れをどう思われますか?

菊池 コメントは難しいですが、やはりECモールに出店する目的は、新しいチャネルで新規顧客を獲得することだと思います。たしかに厳しい規約やロイヤリティなどの制限はありますが、大局的に見て良しと判断するかどうかではないでしょうか。集客と利益のバランスが取れるかどうかですよね。

金子 Yahoo!ショッピングではポイント10倍、DeNAショッピングはWowma!に名称変更、SHOPLISTも急成長しているなど、現在はECモール戦国時代とも言えそうですが、神戸レタス様はどう感じられていますか?

 各ECモール系のテナントが2016年の秋頃からZOZOTOWNに出店しており、当社も10月から開始しておりますが、効果は非常に大きかったですね。開始直後から大きな売上が上がりました。EC全体が伸びている状況だと言えるのではないでしょうか。

金子 広告の話に移りたいのですが、特に効果のいい媒体などはありますか?

菊池 Google AdwordsのPLA(商品リスト広告)は伸びています。また目的や商材にもよりますが、リーチ面でテレビの力はやはり大きいと感じます。厳密な費用対効果で見れば良いとは言えないかもしれませんが、Webだけではどうしても届かない層もいますし、テレビショッピングの後は検索数が急激に上昇します。

金子 神戸レタスは毎年売上を伸ばされ続けていますが、秘訣はあるのでしょうか。

 楽天、ヤフー、DeNAの各モール様でそれぞれ顧客層が微妙に違うため、それに合わせたマーケティングやプロモーションは効果があるように思います。商品やコンテンツ自体は共通なのですが、メールマガジンの文言を変更したり、おすすめする商品を変えたりしています。

金子 SNSにも積極的に取り組んでいらっしゃいますね。

 一昨年ぐらいから、インフルエンサーとのコラボレーションに力を入れています。たとえば、インフルエンサーの方が選んだカラーを商品に取り入れるなどです。Twitter、Instagram、ブログなどでご紹介いただき、その方のファンのみなさまにご購入いただくという循環を作りました。費用対効果はかなり高いですね。

アプリで手に入れたロイヤルカスタマー。EC事業は順調に推移

金子 以前、パーソナライズやセグメントを細かくしすぎてもよくない、というディノス・セシールの記事を拝見しました。スマートフォンだからOne to Oneとか、性別、居住地、趣味趣向などで母数を絞ってメールやプッシュ通知をするのが必ずしも正しくないとのお話でしたが、お二方はどうお考えでしょうか?

菊池 当社の場合、たとえば家具は人生で何度も買うものではないので、たしかにセグメントするよりは、すべての商品をお見せした方がいい場合があるかもしれません。

金子 たしかに趣味趣向も変わりますし、結婚や出産、引っ越しや定年退職など数十年単位で捉えれば見直しも必要ですよね。神戸レタス様はいかがでしょうか。

 当社もターゲットを絞ることはあまりしていません。切り口や提案の仕方を変えて、今回は興味がなくても次回、その次で購入くださるかもしれないという考えが根底にあるからです。先ほども申し上げましたが、ECモール単位でお客様属性が切り分けられている影響もあるかもしれません。

金子 最後に「アプリ×EC」というテーマです。両社ともアプリを展開されていますが、アプリ経由でのECはいかがでしょうか。

菊池 現在2つのアプリを運営しておりますが、特にセールアプリについては、非常にロイヤリティの高いお客様が来てくださっていることを感じています。

金子 インストールという壁を越えた、まさにロイヤルカスタマーですよね。神戸レタスは元々スクラッチ開発のアプリを運用されていましが、Yappliに切り替えていただきました。この辺りのお話を伺えますか?

 やはりスクラッチだと、OSのアップデート対応が大変でした。ベンダーさんにお願いしている分コスト面が厳しくなってきたのです。Yappliに切り替えさせていただき、細かな仕様変更への対応から解放されたのは非常に良かったと感じています。おかげさまでアプリ経由のECも好調に推移しています。

金子 お二人とも貴重なお話をありがとうございます。このあたりでセッションを終わりたいと思います。

※敬称略

About The Author

株式会社Version7代表取締役渡邊徹則
株式会社Version7代表取締役。Web・コンテンツ制作、分析、マーケティングなどを手掛ける。
執筆業では、主にソーシャル、EC、海外サービス、メディアなどが専門。

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