【イベントレポート】アプリにVR、AR。スターバックス、サンリオ、琉球銀行が考える、「人を動かす」テクノロジーとは


2017年10月20日、東京ミッドタウンにて第2回「Yappli Summit 2017」が開催されました。トークセッション2は「『人を動かす』最新テクノロジーの活用法」と題し、株式会社琉球銀行 営業統括部上席調査役 伊禮真様、スターバックスコーヒージャパン株式会社 デジタル戦略本部デジタルマーケティング部部長 長見明様、株式会社サンリオエンターテイメント マーケティング課課長代理 志賀優子様をお招きし、顧客の行動を喚起するアプリやサービスについてディスカッションが行われました。モデレーターは株式会社ヤプリのエバンジェリスト、金子洋平が務めます。

心に刺さる斬新な企画を会社へ通す秘訣とは?

金子 本セッションでは、人を動かすことが中心となる業界のお三方をお迎えし、「『人を動かす』最新テクノロジーの活用法」と題して進めます。早速ですが、こちらの琉球銀行様のCMをご覧ください。

金子 伊禮様は他にも、名刺にアプリをかざすと頭取の方が回るという「りゅうぎんAR」など、ユニークな企画を連発されていますが、こうした企画はどこから生まれるのでしょうか?


株式会社琉球銀行 伊禮氏

伊禮 ロボットのCMは、銀行のCM解禁を受けて2004年に作ったものです。とにかくインパクトを出すためにという内容だったのですが、4年前に復活させることになりました。「りゅうぎんAR」では、ARで銀行が変わるイメージやITに強い頭取のイメージ、そして感動体験を伝えたいと考えました。行員の新技術へのキャッチアップの狙いもあります。

金子 スターバックス様もARを使われていましたね。


スターバックスコーヒージャパン株式会社 長見氏

長見 数年前、清川あさみさんによるデザインのカードで、かざすと蝶が飛ぶというものでした。

金子 そういった企画の予算はどう確保されていますか?

伊禮 役員にも折に触れて説明するよう心がけていますが、自由に使える予算を持つようにしています。

長見 デジタル化の初期から担当していることもあるのかもしれませんが、会社の業績とともに予算も増え、比較的自由な裁量を持てるようになりました。

金子 現在、デジタル広告予算は増加傾向でしょうか?

長見 当社では、店舗が増えれば予算が増えます。私は当初Webサイトとメルマガだけ運営していましたが、その後カードやブログ、SNS、ECなど業務が増えていったので、その中で優先順位を提案しながら予算を確保してきました。


株式会社サンリオエンターテイメント 志賀氏

志賀 結果がわかりやすいこともあり、サンリオエンターテイメントでもデジタルの方が使われています。「今すぐこの金額で集客してほしい」と要望されることもあるのですが、そこで結果を出すことで、デジタルの割合が増えています。

金子 テーマパークでは、デジタル投資に対する効果測定はどうされるのですか?

志賀 紙も含めるとチャネルが100以上ありますが、いつどのチャネル経由のチケットが使われたか把握していて、チャネル別のコンバージョンも出ています。分からないのはテレビなどマスだけです。

伊禮 銀行という業態のわれわれはまだデジタル予算確保が難しく、「沖縄大好き」という全国販売中のカードローンのデジタルマーケティングを、1年前から実績作りとして回しています。

成功の背景に、ブランドのこだわりと柔軟な対応

金子 スターバックス様は、リワードプログラムを開始されました。Web登録済みのスターバックスカードで50円支払う度にStarが1つ集まるというものですが、実績はいかがでしょうか。

長見 当社のアプリは約180万ダウンロードでしたが、リワードプログラム開始後一ヶ月で50万ダウンロード増えました。またカードを使うとスターが付くので、カード利用頻度も増えています。会員数も増えてきたので、今後はより楽しく使っていただく演出を強化したいです。

金子 「Starを集める」というフレーズなどですね。

長見 一般的な「1ポイント1円」は分かりやすいのですが、当社のブランドではリスクになるという議論がありました。ポイントに嫌気がさしている層もいますし、若年層では「楽しければやる」という方もいます。われわれはくつろぎや癒やしを求められるブランドなので、楽しさで差別化したいと考え、そのための表現にはこだわっています。「ランク」ではなく「Star」、色はゴールド、「貯める」ではなく「集める」といったことです。

金子 ピューロランド様は、2016年の来場者数が開園以来2番目に多かったそうです。

志賀 180万人になりました。ピューロランドはファミリー向けだと思われていましたが、少子高齢化を見据えて3、4年前からターゲットを20代女性に広げています。今年度も、現時点で目標来場者数を達成しています。ただ、キャパシティに達して来場者数で見る時代はそのうち終わるのではないかと思っています。今後は客単価なども考慮していきたいですね。

LINEやTwitter、Facebook…ツールが乱立する中でのアプリの位置づけとは

金子 次に、各社がアプリを導入したきっかけについてお伺いしたいと思います。琉球銀行様はいかがでしょうか。

伊禮 当社がアプリに対して抱えていた課題は、当時すでに銀行アプリが飽和状態にあったため、それらをポータル化したいというものでした。その後Yappliを導入したわけですが、結果的にプッシュ通知などをマーケティングに活用できました。アプリはさまざまなタッチポイントの中の一つで、かつマーケティングができるものだと認識しております。

長見 われわれは、いかにスマートフォンに入り込むかが課題でした。スターバックスはあくまでお店ありきです。しかしお客様の日常を鑑みると、スマートフォンを握っている時間の方が圧倒的に長いわけです。それならば、そこから始まる体験を作る必要があると考え、カードの利用促進やECといったサービスを開発してきました。アプリは、そういったサービスを凝縮したものだといえます。

志賀 当社も同じように、すき間時間への入り方から始まっています。WebやLINEなどいろいろなツールがある中で、テーマパークアプリを使うのはリピート顧客だけだと考え、ダウンロードした方に2回、3回と来ていただくためのコンテンツを作っています。

金子 志賀様はアプリ開発にあたって、LINEとの違いを社内で説明されたそうですね。

志賀 公式アプリは強くつながっていたい人向けのプッシュ式のもの、LINEは幅広く浅くつながるもの、ということを図解で説明しました。TwitterなどのSNSも、それぞれ住み分けがあります。LINEはやはり新規獲得で、初年度は反応が良かったのですが、徐々にブロックされることも多くなっていますね。

金子 ピューロランド様のアカウントでもブロックされるのですね。

志賀 ライセンス関連の問題でスタンプに制限があるのも関係しているのですが、当社ではLINE公式アカウントより、その先のLINEビジネスコネクトを見据えています。ターゲットがファミリー層とF1層と異なる属性のため情報の切り口を変える必要があり、ビジネスコネクトではそれが有効だと思います。

長見 スターバックスでは数年前に何度かスタンプを出したことがあり、公式アカウントも運営していました。しかしコストに見合う運用ができず、他のSNSでリーチできることもあり、今ではやめてしまいました。当社はTwitterで400万人以上、Facebook130万人弱、Instagramには93万人以上(※数値はいずれもイベント時)のフォロワーがいます。

新技術にアンテナを張ることで人が集まる。先行者にはメリットも

金子 最近、ARやVR、AIといったテクノロジーが身近になっています。それらをどう取り入れているか、琉球銀行様からお聞かせください。

伊禮 最新技術に強い会社と密にお付き合いしながら、社内リテラシー向上のためにも、社員に徐々に広げていくというやり方をしています。

志賀 常に新しいことに取り組みたいとアンテナを張っていると、それに見合った人に出会えるような気がします。2番手、3番手よりトップバッターになりたいので、実験的に取り組むこともあります。何事も最初であれば社内でも通しやすく、プレスリリースを出しやすいなどのメリットもありますね。

金子 皆さまが注目しているテクノロジーは何ですか?

伊禮 ARや、顔認証などの生体認証です。

長見 AIを早めに導入して、成果を出したいです。

志賀 私もAIが気になります。多様化するニーズに対応する必要を考えると、AIを使った動画かなと思います。キャラクターによるライブコマースのような、新しいビジネスのアイデアもあります。

金子 最後に、登壇者の方から他の登壇者の方へご質問があれば。

伊禮 サンリオ様は、ファン作りのためにどのようなイベントをされていますか?

志賀 1年ほど前から、新しいショーや商品をアンバサダーの方々にお見せするプログラムを実施しています。また、ネットアンケートなどでも先行情報を出しています。

伊禮 将来的にはファンの方とサービスの共同開発などもありえますか?

志賀 はい、クラウドファンディングなども良いと思います。私からも質問で、スターバックス様のリワードプログラムについて、ポイントだけでなく新しいサービスをというお話がありましたが、具体的にお聞かせください。

長見 個人的な考えですが、顧客と直接つながらないとデジタルマーケティングは成功しないのではないでしょうか。この先ですが、現在300〜400億円のスターバックスカードの利用金額を倍増させたいと考えています。

金子 この機会が、皆様の今後のマーケティング活動のヒントになればと思います。ご登壇誠にありがとうございました。