【イベントレポート】ECと店舗をつなぐハブに。ライトオン、TSI、アンファーのYappliユーザー3社が考える「EC × アプリ」の未来


2017年10月20日、東京ミッドタウンにて「Yappli Summit 2017」が開催されました。トークセッション1は「EC × アプリの可能性」と題し、株式会社ライトオン 経営企画本部Eコマース部チームリーダー 金谷洋人氏、株式会社TSI ECストラテジーデジタルマーケティング部副部長 岸武洋氏、アンファー株式会社 チャネル戦略部部長 吉田南音氏を迎え、アプリがECに与えたインパクトやその活用方法についてディスカッションが行われました。モデレーターは、株式会社ヤプリのエバンジェリスト 金子洋平が務めます。

自社ECでの売り上げは45割。外部モールの勢いをいかに利用するか

金子 本セッションはECに詳しいお三方をお招きし、「EC × アプリの可能性」と題して進めます。まずライトオンの金谷様、自己紹介をお願い致します。

株式会社ライトオン 金谷氏

金谷 ライトオンには新卒入社で14年目になります。2年半ほど店舗を経験し、ECには9年前の立ち上げ当初から関わっています。弊社は500店舗ほどあり、アプリでも店舗との関係が必須です。私もなるべく店頭に立ち、オペレーションを把握することを重視しています。

金子 次にTSI ECストラテジーの岸様、自己紹介お願いします。

株式会社TSI ECストラテジー 岸氏

 前職もアパレルで、店舗含めてブランドビジネスに携わってきました。今はグループ全体にデジタルとECで横串を通すプロジェクトを進めています。

金子 TSIホールディングスは、東京スタイルとサンエー・インターナショナルが合併した巨大アパレル企業で、nano・universeやSTUSSYなど幅広いブランドをお持ちですね。

 サブブランドを含めずに34ブランドあります。私はそのすべての直営ECや、ZOZOTOWNなど外部モール、SNSなどの施策を担当しています。

金子 次にアンファーの吉田様、自己紹介お願いします。

アンファー株式会社 吉田氏

吉田 当社はスカルプDというシャンプーを販売する単品リピート通販の業態です。私はWebとコールセンターを統括しており、自社サイトや各モールなどを運営しています。

金子 各社様の自社ECとモールの比率などをお聞かせいただけますか。

金谷 当社は自社が約4割です。残り6割が外部モールで、そのうち半分ほどがZOZOTOWNです。

 当社も、モールの比率までライトオンさんとほぼ同じ構成ですね。

吉田 自社が5割です。モールは楽天、Amazon、Yahoo!ショッピングがメインで、実はZOZOTOWNにも少し出ています。リピート通販であり、既存顧客にいかに継続購入していただけるかが勝負となるため、自社サイトは既存顧客中心で、基盤が固まっていることが売り上げの要因だと思います。

金子 最近伸びているモールはありますか?

金谷 当社はYahoo!ショッピングやAmazon、それにWowma!(旧DeNAショッピング)で対前年比約140%で推移しています。

 当社はやはりZOZOTOWN、それにMAGASEEKなどが大きいです。今まで各モールで同じコンテンツを横展開していたのですが、最近それぞれに担当をつけた結果、売り上げは140~150%の伸びをみせました。

吉田 当社は元々自社ECがあったので、自社での施策をモールに反映することが中心で担当も分けていませんでした。しかし、今は自社、楽天、Amazonとチームを分けることで競い合うようになり、売り上げも伸びたと感じます。

店舗運営の効率化のために導入したアプリが、売り上げにつながるツールに。対立も乗り越え、オムニチャネル化推進

金子 アプリ導入を検討された背景についてお聞かせください。

金谷 2014年、約500店舗で紙のスタンプカードをすべてデジタル化し、さらに当時のECの会員制度も統合を決めました。お客様はWeb登録して店舗でバーコード提示の必要があったのですが、ログインできずにレジに行列ができることもありました。そのためアプリでログインできれば解決できると考えたのです。

 当社は、UIと速度感に関してアプリが優位だと考えました。

吉田 ライトオン様は、リアルとECの連携に課題があってアプリを導入されたのでしょうか?

金谷 当初は「アプリでログインを楽に」という考えで始めましたが、ポイント付与などの施策を店舗で展開すると3カ月で40万ダウンロードとなり、図らずも店舗の強さを再確認しました。まだLINEを始める前だったというのも影響しているかもしれません。

金子 TSI様は、当社(ヤプリ)の導入企業の中でおそらく最もアプリが多く、24アプリほどお持ちです。MIX.Tokyoでは、ファミリーセールの先行入場が施策として効果的だと伺いました。

 はい。「アプリを持っている方はファミリーセールに優先入場」という施策が一番効いています。

吉田 当社はアプリ開始から日が浅いため、その他にも効果があった施策があればぜひ教えてください。

金谷 当社はスタッフのスタイリングや、新商品情報を出しています。自社サイトと同じコンテンツを出す場合もありますが、自社サイトよりも熱心に見てくださる方が多いです。もちろん(価格的に)お得なイベントも人気ですね。

 当社ではアプリ限定コンテンツが見られています。運用スタッフがコーディネートを日々更新して、プッシュ通知でお知らせするのが効果的でした。

吉田 質問ばかりですみません。ライトオン様やTSI様のように直営店をお持ちだと、店舗とECで対立はありませんでしたか?

金谷 最初はありました。当社では、ECで購入した商品を店舗で受け取った場合、店舗の売り上げと見なしているのですが、そうするとEC側から「店舗受け取りを案内しない」といった抵抗を受けたりもしました。しかし最近では、店舗売上比率を指標にしたり、ネットから店舗誘導する方法を考えたりと、徐々にオムニチャネル化が進んでいるように思います。

吉田 店舗スタッフから顧客へのアプリのご案内も順調ですか?それとも何かインセンティブが必要でしたか?

金谷 先ほどの「3カ月で40万ダウンロード」はほとんどが店舗でしたが、ポイント付与が効きました。接客の中に「ダウンロードで500円引きのポイントが付きます」という仕組みを入れました。

 当社は紙のカードの代替という扱いのため、スタッフはアプリのご紹介が必須となっています。最近はダウンロード数を店舗で競い合うブランドや、EC送客をキャンペーン化する会社も増えてきて、アプリをきっかけにECへのアレルギーが薄れてきていると実感します。

2カ月でセッション数10倍、売り上げ7倍に。アプリの即効性

金子 アプリ導入の具体的な効果をお聞かせください。

吉田 当社ではYappli導入前もアプリがありましたが、Yappli導入後2カ月でセッション数約10倍、売り上げ約7倍となりました。

金谷 当社も自社ECでアプリ売り上げ比率が約20%、LINEは数%です。アプリで顧客のログインが楽になって店舗のオペレーションも改善し、売り上げにもつながりました。

 TSIでも、前期は6.1%だったアプリ経由売り上げが、今年上期は14.8%に上がりました。アプリ売り上げ比率が高いブランドは予算進捗率も良く、ECとアプリの密接なつながりを実証しています。ダウンロード促進の運用も含め、体系化できつつあることが大きいと思います。

3社が考えるLINEとアプリのすみ分け、「EC×アプリの未来」とは

金子 ライトオン様はLINEの友だちが1000万人突破だそうですね。

金谷 現在スタンプキャンペーン中なのですが、プッシュできる人が340万人います。LINEの特性として、新規が取りやすく店舗のオペレーションも早いのですが、ブロックもされやすい、売り上げの比率が低いという点があります。新規・ライトユーザーはLINE、濃いファンの方は自社アプリ、という使い分けをしています。

金子 TSI様はブランドが数多くありますが、公式アカウント運用はどうされていますか? 「TSI LINE公式アカウント」だとお客様に伝わりにくそうですよね。

 全ブランドでLINE公式アカウントを運用するのはコスト面で難しいのですが、何かしら対応はしたいと考えています。一部ではMAもテストしています。

金子 アンファー様もLINE公式アカウントを開設され、スタンプキャンペーンもありました。

吉田 はい。去年開設し、友だちは現在約300万人です。LINEではライトユーザーを集めて購買につなげること、既存顧客と友だちになってID連携していただくことを重視しています。自社アプリはロイヤルカスタマーにダウンロードいただき、エンターテインメントや楽しさを提供して良い関係を継続したいと考えています。

金子 それでは、皆さまが考える今後のCRMについて、ご意見をお願いします。

金谷 当社は今まで、DM業務の属人化や週単位の売り上げ管理などがあり、CRMは始まったばかりです。CRMではお客様との接点が重要なので、やはりアプリやLINEなどのツールでいかにお客様との関係を作っていけるかだと思います。

 これまでメール一斉配信のような手法が中心でしたが、今はアプリのプッシュ通知やMAでのパーソナライズメールが可能になりました。アプローチ方法も必要なデータも、お客様によって違います。今後は情報の取得方法が重要になり、最適化の必要があると思います。

吉田 今後のCRMも、RFMなどで顧客をセグメントしてアプローチという形は変わらないと思いますが、接点はアプリやLINEなど新しくなります。MAも検討していますが、そこでもお客様の感動や好意が大事なので、エンターテインメント性のあることを発信し、ただ再訪いただくのではないコミュニケーションを心がけて行きたいと思っています。

金子 最後に「アプリ × EC」の未来についてお願いします。

金谷 アプリはECとの親和性が高く、今後はハブになると思います。

 アプリは、店舗とECをつなぐ絶対的なツールだと考えます。

吉田 単なるコミュニケーションツールとしてだけではなく、お客様との間で心が動くような使い方をしていきたいです。

金子 本日はお忙しい中、ご登壇誠に有難うございました。